2016-10-05 12:00:00 +0900
「ワントレ」 ~丹沢の秘境『ユーシン渓谷』を歩く~ ここ数カ月間のハードワークから解放されたからか、愛犬小町と一緒に美しい自然の中を歩き
たくなっていた。「ワントレに行こうよ!」とはもちろん言わないが、小町も山道を歩きたく
てうずうずしている頃だろう。色々と候補はあったが小町の体力のことも考え、今回は「ユー
シン渓谷」に向かうことにした。玄倉駐車場からスタートし、小川谷出合、境隧道、新青崩隧 と長く感じるかもしれないが、林道を歩くのでそれほどタフなコースではない。

高鳴る気持ちを抑えて

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横浜から車を走らせ1時間半で出発地点の玄倉駐車場に到着する。絶景の「丹沢湖」が目の前に広がり否が応でも胸が高鳴る。これから向かう「ユーシン渓谷」は丹沢大山国定公園に属し、「丹沢の秘境」とか「青い絶景」と呼ばれている場所だ。小町も僕の気持ちの高ぶりに呼応して少し興奮してきたようだ。どんな神秘的な景色が待っているのだろう。

熊出没注意

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玄倉川の力強い川の流れを聞きながら僕と小町はゆっくりと林道を歩き始めた。紅葉にはまだ早いが深緑が美しく山の香りが心地よい。小町の表情も笑顔に見える。まずは、ユーシン渓谷のゲートを目指す。のんびり歩いて1時間弱で到着。ゲートには「熊出没」の看板が出ていた。今年は熊の目撃情報や熊に襲われる事故がニュースでも度々取り上げられてはいたが、ここ丹沢でも数ヶ月前に熊に襲われる事故が起きてしまったようだ。熊鈴は常に携帯しているものの、ブルドッグの血を引く小町が恐れることなく熊に近寄ってしまわないよう、ここから先は気を引き締めて進むことにした。

漆黒の闇

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ここから「新青崩隧道(しんあおずれずいどう)」というトンネルを目指して歩く。このトンネルは本当に真っ暗で出口が見えない。視界ゼロのトンネルだ。都会に住んでいる僕達がほとんど経験することのない漆黒の闇が広がっている。そこをヘッドライトだけを頼りに歩くのだが、トンネルの中でライトを消すと一瞬で方向感覚が奪われ恐怖に襲われる。人は暗闇に入ると自然と恐怖心が出てくるようになっているようだ。しかし、小町はそんな真っ暗な闇の中でもしっかりとした足取りで僕の前を歩いている。出口が分かっているのか?それとも視覚以外の感覚をフル活動させているから?犬の持つとても不思議な能力を発見した。ユーシン渓谷には様々な表情をしたトンネルがあり、それも名物の1つになっている。

ユーシンブルー

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青崩隧道を出て次に目指すは玄倉第二発電所だ。ここが「ユーシンブルー」と呼ばれる透明度の高い神秘的な青い水を湛えることで有名な場所だ。漆黒のトンネルを抜けた解放感を味わいながら歩いていると、「ユーシンブルー」は突然現れる。前へ前へと進めていた足は自然に止まり、その美しさに言葉も出ない。カメラを向けることも忘れ、ただただ川面を見つめてしまう。残念ながら柵があるので小町がこの神秘的な青さを見ることはできないが、この間は休憩時間と決めたようで静かに足元で伏せて先に進むための体力を蓄えている。犬の本能だろうか休み方がとても上手い。おかげで写真もたくさん撮ることができた。

ユーシンの森

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神秘的な景色を堪能した後は、折り返し地点のユーシンロッジを目指す。ユーシンロッジの周囲はユーシンの森と呼ばれ、まるでジブリの世界だ。もののけ姫に出てくる「コダマ」が生息していてもおかしくない、そんな場所だ。ここに来て小町も鼻をヒクヒクさせながら弾むように歩き始めた。森の持つエネルギーが小町にも伝わったのだろうか。ここまで8キロ強歩いてきたようには見えないほど元気になっていた。

僕と小町はここでランチを取り引き返すことにした。

Author AKIRA MINEGISHI


 

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