【犬聞録】第一回 ~恐怖の元はニオイから~

オオカミの遠吠え

真夜中の原野でオオカミが遠吠えをするシーンを思い出して下さい。多くの人はこのオオカミの遠吠えを「仲間を呼んで獲物を捕らえるため」とか「縄張りを誇示するために他のオオカミや動物に威嚇している」と思っている人が多いと思いますが、実は違う説があるのをご存知でしたか。
オオカミが遠吠えするとその声だけで私達人間は勿論のこと、草食動物をはじめとしたオオカミの獲物になり得る全ての動物達が恐怖を感じると思います。恐怖を感じた動物達は瞬時に交感神経が興奮しますが、その際に特有のニオイを発するようです。
その危険を感じて身体から発生した「危険察知臭」をオオカミの優れた嗅覚が反応し、夜闇に隠れて怯える獲物の居場所を把握するという説があります。
飼い主から危険察知臭が出てる!?

この説に当てはめて、動物病院とワンちゃんの怯えの関係を考えてみましょう。飼主が動物病院で可愛いワンちゃんが採血や注射をされようとすると「怖いよね。嫌だよね。」とワンちゃんと自分を置き換えて獣医師の行動に敏感に反応してしまいます。
ワンちゃんは最初こそ怖くなかったはずなのに飼主が恐怖を感じでしまったために、瞬時に発生した「危険察知臭」を飼主の身体から発して、嗅覚の優れたワンちゃんが敏感に反応し、獲物を捕らえるためのではなく恐怖を認知し、結果として飼主の恐怖がワンちゃんへ伝染してしまうのです。
逆を言えば、飼い主が平常心でワンちゃんと診察時に接していれば多くのワンちゃんは動物病院での診療を怖がらずに受けられることになりますよね。
あくまでも仮説ですが、小児科や歯科医院に子供を連れて行くときも、親が怖がっていると子供も怖がっている事を考えると、ひょっとしたら…と考えさせられる興味深い仮説だと思いますが、皆さんはどう思われますか!?
written by hiroaki sugiura
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