犬のポッコリお腹は腹水?腹水の原因や治療法と家でできる対処法

単に太っただけであれば、散歩の時間を増やしたり食事の量を減らしたりすることで改善は期待できます。
しかし、一向にお腹の膨らみがなくならない時や痩せているのにお腹だけ出ている場合は、「腹水」の可能性も考えられます。
この記事では犬の腹水について、その原因や対応方法などについて解説します。
ALPHAICONではドッグウェアはもちろんのこと、愛犬にぜひ使っていただきたいドッググッズも厳選してご紹介していますのでぜひご活用してください。
☆目次☆
1、犬の腹水とは?
2、犬に腹水が起こる原因
3、犬の腹水の治療法と家でできる対処法
4、犬の腹水は小さな変化を見落とさないことが大切!
犬の腹水とは?

腹水とは名前のとおり、お腹に溜まった水のことを指します。人でもよく聞く症状なので、犬に腹水が溜まっているとなると「何か怖い病気なのでは?」と焦るかもしれません。
実は、腹水自体は微量ながらもずっとお腹の中に存在します。腹水の元となるのは腹膜の毛細血管から染み出た水分で、臓器と臓器の摩擦を防ぐ潤滑の役目を担っているのです。
ただし体内に留まり続ける訳ではなく、通常はリンパ管に吸収され、少しずつ身体の外に排出される仕組みになっています。
健康な状態であれば、お腹の中の腹水は一定の量を保っているのですが、何らかの原因によって腹水が上手く排出できなくなると、どんどん溜まっていきお腹も病的に膨らんでいきます。
また、お腹の膨らみ以外には食欲がなくなる、動きが鈍くなる、呼吸が荒くなるといった症状も見受けられるようになります。
お腹の膨らみは外側の見た目からはわかりにくいものですが、腹水と同時に起こる様々な症状で異変に気付く飼い主さんも多いです。
犬に腹水が起こる原因

腹水が溜まるのは、明らかに体の中でトラブルが発生しているというサインです。ただし原因によって腹水が溜まるメカニズムは異なり、間違った治療法では解決できません。
まずは、その根本的な原因を見つける必要があります。
☆たんぱくの減少
たんぱく質の一種であるアルブミンは肝臓で作られており、血管内に水分を保持する役割を担っています。
しかし、肝臓でアルブミンが作られなくなったり、腎臓や消化管からアルブミンが漏れだすと、必然的にアルブミン濃度は減少します。
その結果、血管の中の浸透圧が下がり、血管から漏れた水分が腹水となってお腹に溜まっていくのです。
アルブミン濃度の低下には大きな病気が隠れている可能性が高く、具体的には肝炎や肝硬変などの肝疾患、ネフローゼ症候群などの腎疾患、腸リンパ管拡張症、消化器型リンパ腫といった消化器疾患などが考えられます。
☆全身のうっ血
心臓から送り出された血液は動脈から全身を巡り、静脈を通って再び心臓に戻る仕組みになっています。
しかし、心臓病などによって心臓の機能が低下するとうっ血が起こり、血管の限界量を超えた結果、血管から水分が漏れ出してしまいます。
心機能が低下している部位や程度によって、体のどこに水分が溜まるかが違ってくるのですが、腹水が起こる場合は心臓の右側で問題が起こっていることが多く、フィラリア症や三尖弁異形成、三尖弁閉鎖不全症などの病気が原因となっている可能性があります。
ちなみに、うっ血は心臓だけにみられる症状ではありません。腸管から肝臓につながっている静脈は門脈と呼ばれますが、肝臓の状態が悪いと門脈高血圧症を引き起こし、門脈から水分が漏れて腹水が溜まるケースもあります。
また、血栓の詰まりや腫瘍の圧迫による血流障害も腹水の原因となります。うっ血による腹水が見られる時は、慢性肝炎や肝硬変などの病気を抱えているかもしれません。
☆腹腔内の炎症
腹部に強い炎症が発生すると、腹膜の血管から水分が染み出してお腹に溜まるようになります。
炎症が原因の腹水は、たんぱくの減少や全身のうっ血による腹水に比べて、たんぱく質や細胞成分を多く含んでいます。
腹腔内に炎症が起こる原因としては、子宮内に膿が溜まる子宮蓄膿症や腹壁を貫通する外傷などが挙げられます。
さらに、膵炎やがん性腹膜炎による胆汁の漏出、膀胱破裂によって起こる尿の漏出、腹壁消化管穿孔が原因による消化管内容物の漏れなども重度の炎症を引き起こします。
犬の腹水の治療法と家でできる対処法

犬のお腹が膨れていると感じた時、必ずしも腹水が溜まっているとは限りません。単なる肥満や食べ過ぎという可能性もあります。ただし、普段より明らかに元気が無い場合や嘔吐、嘔吐したいのに吐けない、息遣いが荒いなどの症状も見られる時は自己判断せず、速やかに動物病院を受診しましょう。
☆腹水の治療法
病院ではまず検査を行って腹水の原因を探し、原因となっている病気の治療を行っていきます。腹水の応急処置としては、利尿剤やお腹の水を抜くという治療法が有効です。
利尿剤は尿の排出を促す薬剤で、体全体の水分を外に排出していくことでお腹に溜まった腹水も減らせます。血液の停滞を解消する効果も期待できるので、主に心臓病による腹水が見受けられる時に用いられますが、腎臓の状態が悪い犬には使えません。
また、脱水症状を引き起こさないためには、普段より多くの水を飲ませる必要があります。
利尿剤を使えない、また利尿剤では効き目がなかった時は、お腹に針を刺して腹水を抜いていきます。
一気に腹腔内の水分が抜けるのでショック状態になったり、栄養失調や体の衰弱を招く恐れもあります。
また、多量に抜くという方法は、反動で余計に腹水が溜まりやすくなるという危険性もありますが、状態が悪い時は臓器を圧迫している腹水を抜くことで一時的にでも症状を和らげることができます。
☆家でできる対処法
飼い主さんが出来る対処法にはマッサージや食事療法があります。例えば、膀胱に効くツボを刺激しながらマッサージすると、尿の排泄が促されます。
また、心疾患による血流の悪さで浮腫みがある時は、手先や足先を軽く揉むと末端にまで血液が届くようになり、体の冷えも改善できます。
もしタンパク漏出性腸症が原因で腹水が溜まっている時は、低脂肪食や低アレルゲンフードに切り替えると症状が解消するかもしれません。
ただし、マッサージや食事療法は、病気の状態では逆効果になる可能性もあるため、必ず獣医師に相談してから行うことが大切です。
犬の腹水は小さな変化を見落とさないことが大切!

飼い主さんがポッコリとしたお腹に気付くほど腹水が溜まっている時は、すでに病気が進行している可能性があります。そのため病気を早期発見するには、日頃から愛犬をよく観察しておくことが大切です。
腹水に関しては、定期的に体重を量っておくと、少しの変化にも気付きやすくなるでしょう。他にも、食事に対しての食いつきや飼い主さんへの反応も、体の調子によって変わってきます。
愛犬を病気で苦しませないためにも、小さな体調の変化や愛犬からのサインを見落とさないように心掛けましょう。
また、定期的に血液検査や健康診断を受けるのがおすすめです。一見健康に見えても、実は病気が潜んでいる可能性があるため、早期発見のためにも定期的に受けるようにしましょう。